4歳になった息子を唐松岳に連れていった。

DSC_0075 (2)

唐松岳。
30年前、夏休みの家族旅行がここだった。
初めての北アルプス登山。

ゴンドラに乗って、さらにリフトに乗って、
夏なのに雪が残っていて、雪解け水に手をさらしたら、キーンと冷たかった。

父親がリーダーで、兄、母と4人のパーティー。

たくさんの新しいことに出会い、
大変だったけど自分で歩いて登頂したことを覚えている。

大人になって、登山をするようになった。
その原点が、30年前の唐松岳かもしれないと
今になって思う。

父親は、数年前、
世間一般の寿命よりかなり早く他界した。

ぎりぎり孫の顔、男の子を見せてやれなかったのが残念だが、
それもしょうがない。

そんな思い出の唐松岳に、今度は自分が父親として息子を連れていった。

ゴンドラに乗り、リフトに乗って降りる。

夏の唐松岳は、子供の時以来約30年ぶり。
目の前の風景は、しかし、30年前とまったく重ならない。

歩き始めて、標高を上げていっても、
「こんなとこ歩いたっけ?」
て感じだ。

キーンと冷たかった雪渓も、
もっとひらけた斜面にあったように思うが、軽く谷の地形になったところにあった。

上部も思ったより険しいところもあって、
小学生の自分もよく登ったものだと思ったりした。

山荘の記憶はまったくない。
いずれにしても30年前とは違って、数年前に建て替えられたらしい。

山頂に立っても、そこからの景色は初めて見るものに感じる。

結局山頂まで、記憶のかなたの唐松岳と重なる部分は何一つなかった。
まったく初めて登ったと同じ感覚が残る。

それは30年という時間が記憶を風化させたことと、
4歳のこどもの目を通して、唐松岳を見ていたからだと思う。

4歳の息子は、今回全て自力で歩けたわけではないが、
大人になってもその記憶を留めてくれるだろうか。

リフト、夏の雪、山の空気。
それらはこどもにとって、まだ短い人生の中で、大きな刺激になっているに違いない。

バーチャルではなく、できるだけホンモノを多く体験させてあげたいと思う。